コラム


英語って早めに習ったほうがいいの?
―世界に向かって新しい窓を開くために― 

                                                     ナンシー

日本に住んで23年。長い間大人から子どもまで英語を教えてきました。よく「英語って幼いうちから教わったほうがいいの?」と聞かれます。その度に「YES!」と答えているんですが、「やっぱり子どもに英語を教えるのは無理というもの。日本人として日本語をしっかり教えるべきよ」と言う意見も多く聞かれます。 

 実は私もそう思います!
最近の日本語の乱れを考えれば心配してしまうのも無理ありません私も子どもに日本語をしっかりと教え込まなければならないと思っています。

 でも最近は、身近なところで国際化が進んでいます。子どもが過ごす未来はもっと国際化が進んでいるでしょう。海外にも面白いことや興味が湧き出ることがたくさんあります。また英語ができれば出会える人々も変わってきます。
私は欧米に留学し、ヨーロッパの企業に務めた経験から、コミュニケーションで人生の幅は確実に変わると信じています。そんな経験から、子どもの頃に外国語にふれることには大いに意義があると考えています!

 子どもの柔軟な能力にビックリ!

私は小学3年生の時に、香港の叔母の家で過ごしました。現地のブリティッシュミションナリースクールに通ったんですが、なんと英語が全くわからず…結局、学校で友達もできず、寂しい思いをしていました。そこで一念発起!必死になって英語を覚えたんです。 
が、またしても言葉の壁が…叔母の家庭内では北京語を使うように言われ、家で北京語、外で英語という使い分けをして日々を過ごしていました。一見厳しい「バイリンガル」生活ですが、実はこの時の経験は今でもものすごく大切なものになっています!そして、言葉がコミュニケーションの手段として、いかに大切かを知ることができました。また、二つの言語を使い分けるために、頭のスイッチを切り替える術を自ずと身につけることができました。これが今、日本での生活にもとっても役立っています。

  私は1999年~2012年13年間、インターナショナルプリスクールで日本人の子ども(2歳~6歳)を教えていました。登校から下校まで全て英語で接するんです。初めは戸惑う子どもも勿論いましたが、2,3年経った時にどの子も英語の表現が実に自然で、単語の選択も的確なのに驚きました。通ってくれた子ども達は家の中で日本語を話し、スクールでは英語を話していたので、自然と「バイリンガル」の生活をしていたわけです。
毎日スクールで英語の音声に浸っている時間が長いから、自然な英語を身に付けたんですね。


 人としての視野を広げる外国語教育 

近年、韓国ではイマージョン教育が盛んだそうです。イマージョン教育とは英語漬け教育のこと。母国語を使わずに英語だけで授業をするため、英語習得の早道としてその効果が認められています。タイ、シンガポール、台湾などでも、この方法が採られているようですが、日本でもごく一部の小学校が導入しています。また日本では、インターナショナルスクールに子どもを入れたがる親が増えていますが、これもイマージョン教育への期待の大きさを示していると思います。外国語が日常的に耳に入り、使う必要のある環境にいれば、子どもたちは非常に柔軟に英語を習得する力を持っています。私がこれまで見てきた子どもたちは皆そうでした。 

 とはいえ、すべての子どもが、そのような環境に恵まれるわけではありません。
まずは、子どもにとって身近な存在の人から英語の興味を持つことが非常に大切だと思います。いきなり難しい英語ではなく、簡単な会話から。身近にあることが大事なんです。

私は受験生に英語を教えることも多いのですが、中学1年生から義務教育で英語を学んだからと言って、どこまで十分に英語でコミュニケーションを図れるようになったかは難しいところです。また英語アレルギーの人もいます。中学生はちょうど第二次反抗期。難しい時期に重なっていますし、早めのほうが自然に体に入ることは間違いありません。

 子どもたちが、これからの国際社会を生きていくうえで、コミュニケーションの手段として必要になる英語を使えるようになることに、大きな意義があります。しかし、もっと大切なことは、言語習得は異文化への理解を深め、文化交流に役立つだけでなく、人間としての視野を広げることにもつながるという点です。子どもが母国語以外に、もうひとつの言語を学ぶことは、世界に向かって、もうひとつの窓を大きく開けることになるのです。また、英語を学ぶことは、英語と母国語との違いに気づき、英米と日本の文化の相違を知り、ひいては日本文化の素晴らしさを感じ取る機会にもなるのです。


 外国語にふれる楽しさを大切に 

小さい子どもは、言葉を覚えるのが実に速いんです。私の3歳の姪が、瞬く間に語彙を増やしていく様子には本当に驚きます。乳幼児は母親と接しながら母国語を習得します。しかし小学生の子どもたちは意識的に学習をしているわけではありません。できるだけ遊びに近い、自然な空間で、英語を聞かせたり話させたりして、英語に接する楽しみを味わう機会を与えるようにできるとよいと思います。英語の歌を教えるのもよいし、英語の絵本を一緒に読むのもよいし、やさしい英語の詩を聞かせるのもよいでしょう。入門期の音声指導は、のちの英語力にも影響を及ぼすと考えられるので、英語の音の特徴(アクセントやイントネーションなど)に十分にふれさせるのが望ましいと思っています。
 幼児は、小学生、中学生より無意識に、自然に英語を身につけられる!と私は思います。